日本の美術と工芸 第2話2017/1/14

ボロカス言ってくれてた割には、わが国の工芸品に関しては手放しで褒め称えています。

あまりに長いので画像載せますね。

であるのに、日本人自体をああまでボロクソに書いたのはどうしてでしょうか?

『わたしは日本で独自の様式を持つ美術を見つけた』

そう書いていますね。

日本からは更紗や陶芸、漆芸、金工、木工などの工芸品がずらりと海を渡っていたわけですが、その中で彼は『独自の様式を見つけた!』と胸を張っているわけですね。

日本人も欧米人も気づかない美の様式を私は見つけたぞ!だから、それをここでお披露目しようという訳でしょうね。

この後にまずは、シンメトリーの事を書いてあるんですが、左右非対称の美というのは日本人特有の美意識であったとしても、私達は特に意識していないですよね。

富士山も二等辺三角形であるよりも今の形の方が美しいと想うし、

二上山も雄岳、雌岳の高さが違うところがまた良いと感じる。

これは自然のうちにそなわってきたもので、誰に教えられた物でもありません。

決まり切って、堅苦しいより、ちょっとずらした方が、品が良い。

私達日本人はそう感じるのですね。

これは日本人の誰かが考案したものなのでしょうか?

多分違うんでしょうね。

私が思うには、自然をそのまま採り入れたら、シンメトリーにはならないんです。

お花を活けるのにも、左右対称にしたら本当に不自然ですよね。

自然さを演出するためには少しずつずらして差を設ける。

また、その微妙な間が美しさを生む。

ずれてりゃいいってもんじゃなくて、程ほどにがいいわけです。

自然と共に暮らし、その美しさをそのまま採り入れるというのが日本人の特徴ではないかと想うんです。

その生活から、美意識や美の様式が自然に備わってきたように想えるんですね。

だから、日本人は無意識のうちに、それをやっているのであって、誰に教えられなくてもみんな知っているんです。

着物で言えば、小紋の仕立てなんてその最たる例ですよね。

同じ日本でも沖縄の古い琉装の紅型は、背を中心にして、左右対称になっています。

(びんがたには小紋もへったくれもないんですが)

本土の小紋はそんな風にしないですよね。

格子の柄だって、わざとずらして仕立てたりする。

あんまりキレイに柄があっているとかえって無粋に感じる事もあります。

左右対称の話はあとにずらずら出て来ますから、このあたりにして、とにかく、この本では彼が見つけた『日本の美の様式』が書いてあるということです。

(つづく)

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この記事を書いた人

萬代商事株式会社 代表取締役
もずや民藝館館長
文化経営研究所主宰
芭蕉庵主宰 
茶人

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