『明日から沖縄 沖縄観光についてちょっとだけ語る』2015/10/5

明日から行ってきます。

ちょっとゆっくりして10日(土)まで。

もう、種まきは済んでいるので、あとは芽が出て、花が咲いて、実がなるのを待つばかりなんですが、ちょっとお水をやりに。

本島を中心に回るんですが、余裕があったら、一日は離島でのんびりしたいなーなんて考えてます。

昔、ちゅら島きっぷがあったときは、27000円で久米島往復と、宮古・石垣に行けたんですが、今は経費が高くつきすぎます。

あれだけ補助金をもらってるんだから、もっと離島へ行きやすくしたらいいのに、と想います。

観光で沖縄に行くなんてもうかれこれ14〜5年無いんですが、もう本島は魅力が薄れてきた感じがします。

遊びに行くなら、やっぱり離島ですよね。

本島でキレイな海を見ようと想ったら、それこそだいぶクルマを走らさなければなりません。

キレイな東シナ海側の海岸は、ホテルのプライベートビーチになっていたりして、入れないし、釣りをしようとしても、あれこれ制限があって楽しめません。

沖縄は仕事で行くところじゃないし、まして一人で行くなんて、つまんないですよ。

沖縄にしょっちゅう行くと言えば、

『いいなー』

なんて、必ず言われますが、『何が良いもんか』なんて内心思ってます。

仕事で行くなら、内地の山の中を走っていた方がよっぽど気が晴れます。

もう、夜遊びもしませんしね。

まぁ、ただ、ここへ行って何しよう!という事もなく、気まぐれにほっつき歩いているので、いろんな所は知ってますし、友達もいるので、情報はあります。

本土の友人を案内すると、たいていの要望には応えられるんですが、それだけに『どこにつれてってくれるの〜』的な任せられ方をすると、たいへん困るんです。

というのは、代表的な観光地は、私自身がもうつまらないと想ってるからです。

沖縄の歴史に触れる旅が良いのか、アメリカンなのが良いのか、郷土料理がいいのか、ステーキが良いのか、沖縄の食材を使ったフレンチがいいのか・・・言ってくれたらなんとでもなるんですが、引き出しが多すぎて困るんです。

それだけ沖縄観光というのは、多面的というか、いろんな魅力があると言うことでもあるんですが。

いちばんは、少しながめに滞在して、現地の人と友達になるというのが良いですよ。

そして、それをきっかけにリピーターになる。

お店に行ってお店の人と仲良くなるとかはダメですよ。

お店に行って、隣の席の人と仲良くならなきゃ。

ですから、できるだけ観光客が行くお店は避ける方が良いです。

ガイドブックとか見ていったらダメです。

まぁ、友達になると言っても、私達はナイチャーですから、そう簡単には心を開いてもらえないですよ。

そこは、わきまえるというか、覚悟しとかなければいけません。

5〜6年通って、心を許せる友達が1人できたら、上等です。

沖縄県人同士には硬い結束みたいなのがありますから、その輪の中には入れないと想った方が良いです。

また、そこをちゃんと理解して付き合うのが、いつまでも沖縄を好きでいられるコツかもしれません。

物心ついたころから、沖縄と関わってきて、今、沖縄が好きかと聞かれたら・・

うーん。

好きとか嫌いとかじゃなくて、なんとなくまた行ってしまうという・・・

馴染みのホステスみたいなもんですかね(^_^;)

安らぎを与えてくれるかといえば、それも違うし・・・

あのね、沖縄の人との壁は厚いですが、沖縄に住んでいるナイチャー、これを島ナイチャーというんですが、この人達とはすごく仲良くなりますよ。

島ナイチャーでも良いから、一人友達をつくって、そこから沖縄の人の輪の少し外側くらいに定位して、交流を深めていく。こういう感じがいいと想います。

そうすると、沖縄の人達の良いところも悪いところもよくわかってきます。

そこが解って、それでも良いな〜と想えたら、本当の沖縄好きです。

正直言って沖縄の嫌いな所もいっぱいあるけど、沖縄の人達もそれと同じくらい、私達ナイチャーには不満があると想うんですよ。

だからね、私は沖縄に行くときは、モードを緩めていきます。

怒らない、焦らない、せかさない。

沖縄の人がするように、する。

観光でのんびりしてて、違和感を感じないのは当たり前なんですよ。

沖縄に溶け込む、一体となる。

それが、沖縄を楽しむ最大・最高のコツなんでしょうね。

もしできたら、マリンスポーツとか観光とかしないで、ぼんやりと数日沖縄で過ごしてみて下さい。

それも一人で。

そうすれば、もしかしたら、今まで見えなかった沖縄が見えてくるかもしれません。

『細かく分ければ需要は増える』2015/5/15

私が最近釣りにはまって、あっちの渓流、こっちの釣り堀と休みの度に竿を出しているのはフェイスブック等でお友達になってくださっている方はご存じかと想います。

若い頃、そうですね・・結婚する前までは弟と一緒にブラックバス釣りやら、海で五目釣りなどをしていたんですが、ぱったりと止めてしまったんですね。

最近になって、友人の誘いでまた釣りを始めることになりました。
元々、釣りは好きなのですぐにはまりました。

私がやっているのは主に毛鉤をつかう釣りです。

フライフィッシングというやつですね。

これを始めると、まぁ、いろんな道具が必要です。

竿、リール、ライン、リーダー、ティペット・・・これは釣るための道具

バイス、フック(ハリ)、各種マテリアル(羽根など)・・・これは毛鉤を造る道具

竿も長さと太さが色々で、それに合わせてリールも、リーダーも変わってきます。

友人も協力してくれて助かったのですが、それが無ければスタートできないくらい、必要な道具は多かったです。

これは、季節、時間などの時間的変数と、川、池などの場所的変数、どんな魚を釣るかという対象魚の変数、そして、いかに釣りを面白くするかという心理的・体感的変数などなどが関連しています。

それと、釣りをしていないときも、フライを造りながら(巻くとかタイイングとか言うのですが)『よーっしゃ、今度はこのフライで絶対しとめたんねん!』と眉をしかめながら、あるいは、にやつきながら巻く。これもフライフィッシングの楽しみの一つです。

ひとつというより、半分くらいはそうかもしれませんね(^_^;)

ところが最近、『テンカラ釣』という釣法に出会いました。

毛鉤を使うのは同じなのですが、竿は延べ竿、リールはナシ。

糸も2種類、毛鉤も2種類くらいと極めて簡素です。

なんでも、日本の職業釣り師が山岳渓流でイワナなどを釣っていた方法なんだとか。

テンカラの場合、季節も、魚の種類も、何処で釣るかも関係なし。

道具がシンプルな分、いろんな意味で制限はありますが、『それはあきらめましょう』というスタンスの釣りです。

で、どっちが釣れるかといえば、どっちもどっち。

私の経験上、目の前に居て毛鉤が届く範囲の魚だとテンカラに軍配が上がるような感じがしています。

それで、ちょっと待てよ・・・

という事になるわけです。

フライフィッシングのショップに行ったり、雑誌をみたりすると、こんな時にはこんな道具、またこんな魚にはこんなシステム・・とあたまが痛くなるくらい、いろんな道具の提案があります。

こういう釣り方にはこれが効率的とか。

それがまた、話を聞いていると理にかなってる。

知的な人ほどその世界にはまるのかも知れません。

フライショップでテンカラの話をすると、店員さんは一様に顔がくもります。

テンカラの話には応じてくれません。

考えたら当然ですよね。

フライの人がテンカラに転向してしまったら、いままで売れていた物が売れなくなってしまいます。

フライの竿は高いモノは一本数十万円、リールも数万円。

その他、ドライフライやら、ニンフやら、ストリーマーやら、ウエットフライやら、いろんな種類のフライがあって、それを造るための材料(マテリアル)も数え切れないくらいの種類あります。

テンカラの場合は毛鉤なんて2種類それも大小あれば充分だ、といいます。

竿も手作りの竹竿とかでなければ2万円もだせば充分です。

糸(ライン)もそのへんの釣具屋で売ってるので間に合います。

テンカラ師(テンカラをやる人の事をこう言います)は魚は色を判別できない、と言いますが、フライショップの人は、『いや、今は判別できることが解ってきたらしいです』という。

魚に色が解るとなれば、フライもいろんな色が要るわけで、同じ形のフライでも何色も巻かなければなりません。

となると、マテリアルも何色も要る。

だから、フライをやるにはお金とヒマが要ると言われる訳です。

テンカラは、野池でうどんをエサにフナを釣るのとコスト面ではそんなに変わりません。

つまり・・・

細かく分ければ沢山売れるのです。

こんな時にはコレ、また、こんな時にはコレ、と細かく提案されれば、それに合う物が欲しいと想うのが人情です。

そんなもの、かわりゃしないでしょ!と想えるのは色々解った後の話です。

実は着物の世界も同じです。

こんな時にはコレ、こんな時にはコレ、と細かく細かく定めた。

誰が定めたかといえば、たしかやっぱりどこかの売り手だったはずですが、実は昔から決まってるものでも何でもないんです。

それが今は着物を理解しにくいものにしてしまっている一つの要因かもしれません。

今一般に想われているしきたりやTPOを無視あるいは逸脱するのが良いとは全く言っていませんよ。

私は、あくまでも正統派で、TPOを厳格に守ったお勧めをしています。

それは、そうしないとお客様にご迷惑を掛ける可能性があるからです。

茶道のいろんな行事の時に何を着たらいいのかというのも、実はなんの決まり事もないそうです。

たぶん、お茶の免状をもらいに家元に行くときには指定があるので、それに準拠して、色々言うんだろう、という事でした。

何にも決まってないんです。

ですから、自分が良いと思えば、それで良いんです。

でも、どれが良いか解らない、恥をかかないようにしたい、と言うことであれば、オーソドックスで右からも左からも何も言われることのない事をお伝えします。

大阪に船場という町があって、そこは昔から繊維業で栄えている所です。

船場では更衣が厳格で、どんなに暑くても寒くても、決められた通りの着物しか着なかったそうです。

なぜでしょうか?

そうしないと、売れなくなるからです。

沖縄のように年中温かいところでは重衣料は売れません。

1年の3/4はかりゆしウェアで過ごせると、それしか要らないでしょう?

冬だけジャンパーでも羽織れば良いわけです。

人前に出る時や、お祝い事で招待された時、上等なモノを、できれば新調して着る。

実はこれだけで良いんです。

たぶんこれは万国共通なのだろうと想います。

風邪と共に去りぬという映画でスカーレットオハラがレットバトラーに会いに行くときに、カーテンを引きちぎってドレスを造るシーンがあるでしょう?

大事な人と合うとき、大事な所へ行くとき、ビシッとした格好で行きたい。

大事なのは、そのメリハリなんです。

そのビシッが、どうビシッなのかが解る様になるのも大事です。

私達マーケターは『ウォンツ』という言葉を使って、市場拡大を図ってきました。

『感性消費』という言葉も一時もてはやされました。

釣具も着物も、細分化したためにおこったこと。

良いモノを一つ買って、それを大切に使うことを忘れさせてしまったのではないでしょうか。

もちろん、それでは、消費は増えないかも知れません。

しかし、予算制約線が右上に移動しない限り、細分化は品質の低下と、生産の海外移転を招くだけです。

釣具もほとんどは海外製品です。

良いモノの生産を国内に残すには、消費の分散に歯止めを掛ける事も、今や必要なのではないかと想っています。

良い物は欲しいけれど、あれもこれもは買えないわ。

当然です。

男性のバッグは使い込んだものを持っているほど、その人の信用が高まると聞いた事があります。

うちで買って頂いた織物などは、ほんとうにドンドン着て、味わいつくしてほしいと想います。

良いモノは着るほどに味わい深くなり、あらたな魅力を教えてくれるはずです。

着物だけでなく、良いモノと人生の歩みを共にする。

買った着物は、着る人が完成させるんです。

それは着る味わいと共に、そして想い出と共に。

『値上げラッシュ』2014/3/3

来月から消費税が3%上がって8%になりますが、加工期間のある着物や帯はとてもややこしい事になります。

当社はデパートさんがお得意先なので、お客様に納品されて初めて売り上げ計上されます。

ということは、2月末や3月にお求め頂いても、仕立て上がって、お納めするのが4月以降であれば、消費税は8%になります。

その辺を曖昧にしていると、後になってお客様にご迷惑をおかけすることになるので、キチンと売約の内容を決める事にしています。

消費税が上がる以外に、いままで我慢していたけどこの機会に!という事なのでしょう。

あっちもこっちも値上げです。

まず、糸値があがって、白生地、特に紬類の値段が上がってきました。

白生地が上がったかと想ったら、沖縄の場合は染め代があがり、今度は、織物の値段も上がりました。

石油が値上がりしているのですから、すべて値上がりするのは当然で、染料やらの染色材料、加工代、仕立て代なんかも、値上がりするでしょうね。

それがちょっとばかりでなくて、2〜3割。

いままで我慢してきたので・・というわけです。

でもまぁ、しょうがないですね。

景気上昇を実感できないうちに、値上げだけ先行されたのでは、やりにくいのですが、これを嫌がっていたら、従事者の待遇改善なんてほど遠いということになってしまいますね。

私は格好をつけるわけでなく、『いいですよ。上げなさい。上げた方が良い。』と言ってます。

値上げすることによって待遇が改善されるなら、それをベースに努力をしていけばいいのだと想うのです。

値上げして、私の算盤に合わなければ私はやらないだけの話です。

他に高値で買ってくれる人がいたら、そこに出せばいい。

他でも同じような事がおこれば、値段は必然的なところで落ち着くと想います。

私達問屋も、問屋がぼったくっているから、値段が高くなるなどという、濡れ衣を着せられたくありません。

原料代やその他の経費が上がったら、作り手さんも相応の収入がとれて、次世代にも繋がるような仕事にしていってもらった方が、私達問屋は良いのです。

値段が上がれば、その代わり、ボンクラな作り手は淘汰されるでしょうね。

価格に見合う品質・内容が無ければ、市場から駆逐されます。

これはしょうがないことです。

作り手も二極化、貧富の差が拡大するということになるんでしょうね。

商売上、仕入れ値が高くなることで一番こまるのは、プライスラインが崩れる事なんです。

プライスラインというのは、1万円、2万円、3万円、5万円という風に価格を整理してキレイな値段を設定する事です。

仕入れコストから粗利を機械的に足して根付けしたのでは、9868円とか11353円とか、バラバラになってしまいます。

税込み表示が許されるところでは、税金込みで、1万円前後の物を1万円とか、9800円とかに値付けするわけです。

それが仕入れ値が上がったり、消費税があがると、いままで13568円で1万円のプライスだったものが、164583円になってしまうと、2万円つけなくてはいけなくなる。

プライスラインをキレイに保とうとすると、上のラインにまであげなくてはいけない。

これを便乗値上げととられてしまう場合もあるわけですね。

ここのあたりは、商人のセンスが問われるところでしょうね。

四月以降の景気や株価がどうなるかとか、色々、難しい時期ですが、まぁ、やっていけるように値上げすればいいのだろうと想います。

東京の方はオリンピックも控えていて、テナントの賃料も上がるかも知れませんし、好況の中でも不安定になるかもしれませんね。

正直言って、今、特に先染品は安すぎるんだろうと想いますね。

今の価格帯で良いモノを造れという方が無理ですよ。

今の状態は、まさに奇跡なんです。

作り手のプライドでなんとか持っている、そんな感じです。

着物や帯の上代が高くなるのはいろんな理由があるんですが、もう少し作り手の利幅をふやしてあげないと、やれないと想います。

あれこれ値上げになれば、難しくなりますが、そこは、商人の才覚で乗り越えなければならない問題だと想います。

値段を落とすことより、歩留まりを上げたり、良い商品づくりを提案したりと、やれることはたくさんあると想います。

値段が上がる中では、消費者のみなさんも、作品をジックリ見て、鑑識眼を高められる良い機会になるかもしれません。

コスト高の為に、なんの面白みも無い商品ばかりが市場を埋め尽くす様な事にだけはならないようにしたいと想っています。