【二十四五】
商売の世界でいえば、ほぼ十年すぎたころ、年齢的には30〜35位でしょうか。
このころが、営業マンとしては花です。
知力・体力とも充実し、いくらでも無理が利きます。
トークもこなれてきて、商品知識も顧客対応には十分なくらい備わってくる時期です。
逆にごまかしも多くなります。
また、知らないことを知らないまま放置してしまいがちな時期です。
それはすべて、『慢心』から来ることです。
10年すれば、まわりも一人前と判断するでしょうし、自分の考えで思う存分動けるでしょう。
でも、風姿花伝に書いてあるとおり、ここが大きな分かれ目です。
努力しなければ、良くて現状維持、普通はどんどん落ちていきます。
なぜかというと、若さ、ひたむきさ、という魅力がなくなるからです。
私は商売の世界に置いて、熟練や経験というのは大して必要ないと思っています。
商売には商う人の人格が投影されます。
いい加減や人はいい加減な商売しかできなし、嘘ついても平気な人は商売でも必ず嘘をつきます。
友人との金銭関係にだらしないひとは、商売でも支払いが悪い。
そんなものです。
商売というのは、商人とお客様との間だけで行われるのではありません。
仕入先ー自分ー得意ー仕入先ー自分ー得意先・・・・と品物とお金が循環しているのです。
いま、我が国がデフレで苦しんでいるのを見てもよくわかりますね。
モノの値段が下がれば、生活しやすくなると思ったら、自分の給料もさがって、さらに買えなくなるから、また物価がさがる。
これをデフレスパイラルというのですが、経済だけではなく、すべて繋がっているのです。
自分だけ安全な所に居るつもりでも結局は、巡り巡って自分の所にもまわってくるのです。
この10年目くらいからしなければいけないことは、体力・知力・徳力にさらに磨きを掛けることです。
三十代も半ばを過ぎる頃から、体力はどんどん落ちていきます。
若さもなくなる。人によったら頭も禿げてくる。
つまり、見た目の魅力がなくなるのです。
しょぼくれた人や、愚鈍な人、いやしい考えの人、すべて顔や態度に表れてきます。
この人に売りたい、この人から買いたいを思ってもらえるように自分を磨かなければ、よい商いは続けられません。
歳をとれば、とくに男性はカサが高くなり、煙たがられるようになります。
20代の頃は気軽にいろんな注文をくれたのに、歳を取ってくると、そうはいかないとお客さんが思い始めるのです。
その、気軽さ、かわいらしさが無くなることが、もっとも恐るべき事なのです。
前にも書いたと思いますが、この頃から、笑顔の練習をするのです。
お客様と楽しい会話ができるように話題をあつめるのです。
面白く話ができるように、ロールプレイングするのです。
そして、もちろん、いろんな事に興味をもって、自らを磨くのです。
どこにでもいる、そこそこ売るだけの営業マンを目指すなら、そんな努力はいらないかも知れません。
また、そんな努力をしても売れるようにはならないかも知れません。
でも、自分の仕事に意義を感じて、お客様に信頼されるようになりたい、と思うなら、努力しなければいけません。
小手先の工夫は小手先でしかありません。
とくに着物の場合、品物と一緒に、そこに乗っかっているさまざまなモノを買ってもらうのです。
それを知らないのは、電気屋が電気製品の使い方を説明できないのと同じ事です。
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