【およそかくのごとき条々、よくよく見得して書作すべきなり】
だいぶ飛ばしました(^_^;)
ここでは開聞と開眼について書かれています。
開聞とは、文辞の面白さと作曲上の興趣を一つの音楽的感動に発現させる境地
開眼とは、舞ったり所作をしたりする演技のなかで得る観客の感動
これが両方とも能作によって得られると書いています。
とくに開眼の場合は、シテの演技によるものと想われがちですが、これも能の作者の狙いで実現できるのだというのです。
商品づくりもおなじなんです。
商品を造るときに、お客様にどうお勧めするかのストーリーを描きながら制作をするんです。
そのストーリーが美しくないとき、その品物は売れません。
着物でも商品の魅力というのは品質とデザインと想われがちですが、それだけではないのです。
その商品がうまれてくる、また、生み出さねばならない必然性というか、テーマ性がどうしても必要なんです。
それがないと、どうしても説得力に欠けてくる。
そうなると売り手も力が入らない。
私の横でストーリーを聞いて居る人は、単独でも売れますが、ストーリーを知らない人は、売れない事も多いのです。
私がプロデュースする作品はあえて、伝統工芸としての名前や作家名を消してあります。
『もずや更紗』『えばみりをん』
何がなにやら、どこでつくっているのやら、全然解りませんよね。
いま、作ろうとしているものも同じです。
ひとつには、伝統工芸への敬意を込めて、その名前をそのまま使わないということがあります。
それともう一つは、産地やブランドに惑わされずに、直に作品を見て頂く為にそうしているんです。
呉服屋さんや展示会に行かれると『○○さんの作品です』『人間国宝です』『無形文化財です』なんて言葉が飛び交っているでしょう?
それは値打ちのあるものですが、それでは、作品が磨かれないんです。
ブランド品でなくても、作品自体の魅力で売れて初めてホンモノだと言えると私は思っているんです。
ストーリーにはお客様のご希望を踏まえて実用性や、利便性、お客様が気づいておられないような新しいメリットなどをお伝えするわけです。
そして、もちろん、私がそれを生み出したことによって、よみがえり、研ぎ澄まされた美を読み取って頂くように、お話しを聞いて頂きます。
ですから、よくいうのですが、うちの商品は説明込みで初めて完成するんです。
ラーメンでいえば、品物は麺で、私のストーリーがスープです。
これが、作るところから売るところまで一貫してやっているメリットであり強みです。
品物は真似できても(真似できないと想いますが)、ストーリーは真似できないのです。
もしストーリーが真似できたとしても1回限りです。
ストーリーが物を生み、物がストーリーを生む。
それは、かつ、実需に即したものでないといけません。
そして、最終段階では、私が喋らなくても、作品が勝手にお客様とお話ししてくれるんです。
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