『商道 風姿花伝』第46話

【因果の花を知る事、極めなるべし】

ここでは、申楽=能の立ち会いの時の心構えについて書かれているのでしょうか。

自分が調子の悪いときは、そう心得て、良いときも同様にして、無理をするなという感じです。

相手の調子がいいときには、控えめに、相手が悪いときは一気に、勝ちに行く。

昔で言えば、バイオリズムに逆らうな!ということでしょうね。

つまりは『勝負の潮目を読む』ということなのだろうと想います。

商売の世界はまさにこれに尽きます。

潮目を見誤れば、つぎ込んだ金も、買い集めた商品も、ムダになります。

売り時、買い時・・・

その他諸々合わせて、商売は『金と間』です。

商売と言ってもいろんな考え方がありますが、私の場合は、一攫千金を狙わずに息長く続けていく事をヨシとしています。

相手が攻め込んで来る、売りに掛かってきたときには、私なら引きます。

逆に引いた後が狙い目と見ます。

簡単に言えば逆張りなんですが、それも潮の流れの速さや高さによります。

経済原則からみても、物の供給が増えれば価格は下がります。逆に物が少なくなれば物の価値は上がる。

お金の量が少ないときに、物を今以上に流し込めばさらに価格は下がるんです。

ここ20年くらい経済政策が失敗しているのは、サプライサイド=供給側の経済学が先行しているからなんですね。

物を市場に流せば、売上はあがるだろう、そう想って沖縄県などもいろんなイベントをやるわけです。

でも、やればやるほど、価値は下がっていきます。

同じ商品でもあちこちで催事をすると現実の量以上に、市場に存在するように感じられてしまいます。

そうなると、商品の陳腐化という恐るべき現象が起こってきます。

あー沖縄のね。

そう言われてしまうんですね。

そんなときは、ちょっと休んで、世阿弥も書いてますが、自分の得意分野をもう一回おさらいして強化・洗練させてみる。

公的な催事だと、やることが先になって、結果は後回しだからやっかいなんです。

どばーっと来て、ダメでも、またどばーってやる。

だから、陳腐化も価格低下も止まらないんです。

普通なら、何回かやってダメなら、引きますよね。

その、みんなが引いたときが、出るチャンスです。

もちろん大商いはできませんが、存在価値は高まり、じっくり落ち着いて商売ができるんです。

ブームが怖いのは、あとの揺り戻しなんですね。

結局はブームで損をする人が多いんです。

ブームのときはプカプカのっかって居るくらいでいい。

ブームが去ってからが勝負だとおもって、力を蓄えておくべきなんですね。

経済も運気も必ず波がある、ということを知っておくということです。

そして、他人に作った波に乗せられたら溺れるかも知れない。

泳ぎ切るには、自分の体調やその時の潮の状況をみないとダメですよ、ということです。

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この記事を書いた人

萬代商事株式会社 代表取締役
もずや民藝館館長
文化経営研究所主宰
芭蕉庵主宰 
茶人

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