昨日、万博公園内にある大阪日本民藝館に行ってきました。
『絣の美 模様の世界』が開催されています。
http://www.mingeikan-osaka.or.jp
大半が鳥取県の絣で、後は久留米。
沖縄はちらほらで、首里の芭蕉布や宮古上布も展示されていました。
首里の絣では、大城志津子先生のタペストリー、多和田淑子先生の着物、手縞、諸取切などが展示されていました。
大城志津子先生の作品は、出口近くに展示されていて、経2m×緯1mくらいの大きなモノでしたが圧巻でした。
これだけ絣がズラリと並ぶと、さすがに感性が触発されます。
絣ってなんなのか?
絣の美ってなんなのか?
織で絵柄を織り出すこと?
たくさん展示されている絵絣はとても精緻でたしかな技を感じさせます。
すごいな、きれいに造ってあるな。
余程正確に設計して絣を括っていないとこうはいかないな・・・
なんて考えます。
民藝という視点でみると、そこには生活感、やさしさ、土の臭い・・・
なんてものが感じられます。
そういうやさしい、ほのぼのとした、それが使われている光景が思い起こされるような作品。
それが民藝の原点でしょう。
しかし、私がグッと引き込まれる作品はそういうものではありませんでした。
絣という技法自体が、自然に作り出す美。
『織味』という言葉があります。
経糸と緯糸が重なった所に染めでは出ない色と表情が出る。
その味を『織味』といいます。
経糸と緯糸のかすれ具合。
経の絣と緯の絣が重なった所にでる織味。
そこに生ずる織味。
濃淡、強弱、明暗・・・
直線的な絣ほどそれが強調されていたような気がします。
その生地の奥にグーッと引き込まれていく感じがしました。
まさに万華鏡を見ているような感じです。
内地の絣はたいてい紺に白の絣ですが、沖縄には色絣があります。
地を防染糸で括らないといけないので、とても手間でしんどい仕事ですが、これがまた美しい。
でも、織味という点からみて、それが充分に発揮されているのかというと、うーん、私自身、そのあたりの視点が欠けていたというしかありません。
手縞になると、経緯の太い格子にムディ(杢糸)が入り、格子の間に手結いの絣が入る。
まさに折り重なる様に表現される織味の中に手結絣の白は空間を与えているんですね。
織味を確認する為に私はマス見本を造ってもらう事もあります。
反物のデザインをするときに糸を重ねただけでは重なった所の感じがわかりません。
経10色、緯10色くらいで織ってもらいます。
(たいへんな手間がかかるのでたいてい嫌がられますが)
絣の織味を狙って織れば、もっと面白い作品ができるかもしれないな、と想いました。
絣の技は、もちろん技術の正確さや藍の美しさも必要です。
しかし、本質なのはそこじゃない。
シンプルな中に表現される豊かな表情。
経絣、緯絣、そして経緯の絣が交わる織味。
プロの陶芸家は、私達素人が偶発的にでたとしか想えない色や味わいも狙って出すと言います。
火襷や、灰のかぶり具合さえ、狙って造るらしいです。
経緯の色の重なりと空間。
織物って本当に面白いなぁ、と想います。
『絣の美』は7月20日まで開催されています。
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