http://www6.nhk.or.jp/wdoc/backnumber/detail/?pid=160915
今日の夕方、これを見て愕然としました。
絵画の贋作って、見るだけでは判別が付かなくて、絵の具の成分分析で見分けるんですね。
染織の世界でも贋作とかコピー商品ってありますけど、本当に技術の高い人の作品て、まねできないように想うんですが。
組織は真似できても、色は真似できない。
ある作家さんから完全に作品の作り方を指導されて同じモノを造っていた人が居るけど、元々のモノには及びも付かない。
じゃどうすればそれに近づけるか、私にも解らない。絶対色彩感というのを持って居る人がいるらしいけど、特に天然染料でそれができるでしょうか。
同じ染料で同じ糸を使っても同じ色が出るでしょうか?
糸の状態で見るのと布になってからでは見え方が違うし、洗濯してからも色が違う。糸を染めるときに、織って洗濯したあとの発色を完全に予想して染色するって、出来るんでしょうか?
それが出来なくても良い作品は出来るかも知れないけど、色を完全にコントロール出来てこそ、作品であり作家であると想うんですが。
ベルトラッチのある意味でシャーシャーとした態度も驚きだけど、贋作を望んでいる画商も居ると平気で言い放つ人も居て、これもビックリ。
実際、私達の業界でもニセモンやパチモンを望んでいる業者は少ないとは言えないですわね。
『売れりゃ、なんでもいい』この番組でもこの言葉が出ていたと想いますが、そう想わない業者はなんでそう想わないかというと、創作するときの苦悩を知っているからですよ。
そしてその物作りに一緒に関わっているからだと想います。
いまどきは、ブランド化すべきだ!なんていう意見が多く聞かれますが、これはブランドというものを良く理解していない、あくまでも売り手側の意見だと想いますね。
ブランド=銘柄です。
ブランドとは信用でもあるけれども、ブランド・イメージで消費者を、悪く言えば攪乱する目的も含まれていることは否定できないのです。
作家名というのもある意味ではブランドで、それを悪用して、駄作を乱発して高値で押しこんでいる作家もいることが、それをよく示しています。
これは、いわば自己贋作なんですよ。
技術や品質の衰えは、ブランドでは判別がつきません。
手仕事の場合は特に、それが変化しがちなんです。
名前が売れたら、織るだけならまだしも、糸の染色さえ他人まかせにする染織家がいたり、紅型でも、京都に型彫りを外注している有名作家がいたり、というていたらくです。
組織図だけかいて、糸染めも織りも自分でやらないんなら、私でも作家になれちゃいますよね。
ベルトラッチはとんでもないヤツですけど、いろいろ考えさせられる番組でした。
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