『クレヨンとスモック』2014/1/17

 もずや民藝館開館から1週間が経とうとしています。

おかげさまで、順調に会員数が増えています。

有り難い事だと思います。

羽曳野の民藝館の方でも少しでもPRしようと、冬用の暖簾と看板を造り始めました。

今ある暖簾は麻地で寒々しいですし、看板は玄関に掛かっていて目立たないので、

人通りが少しでも多い、バス通りに面したところに新しいのを立てようと思っています。

前も手作りでしたが、今回も独力で手作りしようと思っています。

不器用な私が、こういう風に自分でやってみようと思う様になったのは、大阪芸大で勉強していたおかげです。

かといって、器用になったわけでもなく、相変わらず下手くそをさらしているのですが、度胸だけはついたようです。

展示会の案内状もいつも手書きですし、作品の反末文字も自分で書いたものを使ってもらってます。

普通は、パソコンで編集したり、誰か字の上手い人に書いてもらったりするのでしょうが、

何故そうしないか、といえば、『自分と自分がやったことに責任を持つ』という意思表示のつもりなんです。

パソコンの文字や、他人が書いた字を使えば、誰が書いたか解りません。

でも、自分で書いた文字なら、逃れようがないのです。

いわば、私のサインです。

暖簾も看板も、見てもらうためのものですし、うちの前を通る人は

『なんか知らんけど、下手くそやなぁ』

と笑っているかも知れません。

もしかしたら、

『ウマイと勘違いしてるんちゃうか?』

と思われているかも知れませんが、違います。

自分でも下手だと解っています。

でもね、もの作りしてる人で、私の作品見て笑う人は居ませんよ。

いわばね、ちっちゃい子の図画工作みたいなもんなんです。

上手下手じゃなく、造る事が楽しいから、図画の授業って楽しいんでしょう。

今でもたまに下手な絵を描きますが、自分自身で苦笑いしながら楽しんでいるんです。

そんな中から思わぬ発見があったりもします。

私は私がお世話になっている物作りの方々の足下にも遠く及びませんが、それでも『ものづくりの楽しみ』

は知っているつもりです。

だから、強く言えるんです。

『邪念が入っているでしょう!?』って。

私は私の作品を売るつもりも無いし、売れるはずもないので、自分の思うままに配色したり、絵を描いたり出来ます。

50歳近くになって、下手な絵を描こうとすると、子供に戻らないと描けないんです。

幼稚園の時に、スモックを着て、クレヨンで描いた、あの気持ちです。

だから、絵を描くときはクレヨン、パステルを使います。

看板を彫るのには学校用の彫刻刀。

染めは、筒描です。

だれでも出来る簡単な方法で、あまり考えないで、ぶっつけ本番でやります。

そうすると、もちろん立派なものは出来ませんが、やっぱり自分らしいものができる。

自分でも

『あー、私そのものやなぁ・・』

と思うのです。

それでもね・・きちんと見てる人は見てくれていて、

『もずやさん、少しずつ上達してますね』

って、言ってくれるんですよ。

それで十分なんです。

お金をかけてプロに頼むより、自分でやれることはやる。

それで、自分が伝えたいことが伝われば、大成功なんです。

自分で作った物、造ろうとする気持ち、作った物を見せようとする気持ち、出来たときの喜び、

これはお金では買えないんですよ。

それとね・・

これから手しごとの世界は、ますます厳しい局面を迎えると思うんですよ。

もう造っても売れないからやめようか・・そんな風に思う時も来るかも知れません。

そんなとき、このオッサンが嬉しそうに絵を描いたり、木を彫ったり、フェルトをこねてる姿を想像してほしいんです。

織物も染め物も、初めは好きでこの道に入ってくるんでしょう?

それがいつのまにか、目的がお金にかわっていく。

お金は大事ですよ。

お金を得ることは、仕事をする上で一番重要な目標です。

でも、続けられる環境にあるなら、好きな仕事を続けていって欲しい、そう思うんですよ。

あなたの作品はあなたしか生み出せないんですから。

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この記事を書いた人

萬代商事株式会社 代表取締役
もずや民藝館館長
文化経営研究所主宰
芭蕉庵主宰 
茶人

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