『たまにはちょっと男の着物の話②』2016/3/16

またちょっと書いてみようと想います。

私に会った事のある方はお分かりだと想いますが、身長170センチ、体重90キロの肥満体型です。

太っててお腹がでてるから着物が似合うんじゃないの?と言われれば補正なしで、まさに自腹でバシッと帯が決まるので、このお腹は便利なんですが、趣味で色々と着たいと思い出すと、まぁ、男物というのは種類がありません。

結城やら大島の男物といえば定番で、沖縄で男物として造られているといえば、まぁ久米島紬のクバングァーくらい。

各産地でそれなりにはあると想うんですが、無地っぽいものか、せいぜい縞くらい。

沖縄では男性も絣を着る伝統があって、手縞なんかわたし用に仕立てようと想うと、まわりから一斉に反対されます。

そもそも、ユキが1尺9寸以上となれば、一気に選択肢がなくなります。

私は、あんまり気にしないで、男物として着ておかしくない着物は、ユキが足らなくても仕立てて着ています。

身長170センチならあれこれいけそうなもんですが、肉付きがいいので、その分裄丈が長くなってしまうんです。

女性も最近は身長の高い方、身長と比較して手足の長い方が増えて、9寸とか9寸5分の反物幅では対応できなくなってきているので、最低1尺、出来れば1尺1寸幅で着尺を織る様にお願いしています。

着物の展示会に行けば、大きな展示会でも男物はせいぜい1間の範囲に収まるくらいしか置いてありません。

私なんかは、割とテキトーな性格なので、『これやったらおかしくないんちゃう?』と想えば女物でも自分用に仕立ててしまいます。

もちろん誰でもそれが出来るというわけでもないでしょうし、好き嫌いや似合う似合わないは当然あります。

たまに、男物の紋付もご注文頂くのですが、まぁ、良い色の色見本がなかなか無いのです。

それで、私がずっととってある背広の残り切れを出して、それを見本に染めてもらったりしています。

定番的なものが安心して着れると言うこともあるんですが、ステップアップしてくるとヤンチャしたくなるのが男心?でしょうか。

でも、ヤンチャもほどほどで、大衆演劇の役者の様な格好は、プロである私としてはお勧めできません。

男性の場合は、着飾るのではなくて、着姿で勝負!というのが本当なのだろうと想いますが、ちょいとハイセンスを披露してみたい、と想う、これも男心。

自然にイヤミ無くという感じがとても良いと想います。

私達プロから見れば、『あー背伸びしたはるわ』と一発で解ります。

背広だって、社会人になりたてのころは、あんまり板に付いていませんよね。

一見してフレッシュマンだと解ります。

でも、5年経てば、さすがに毎日ほど着るわけですから、背広もネクタイも似合ってきます。

着物もおんなじで、どんなにこねくりまわそうとしても、着ないと板に付いてきません。

男性の着物は簡単に着れるのですから、まずはできるだけ着る事です。

はじめは汚したりしますから(私は今でも良く汚しますが)、あまり気を遣わなくて良い素材が良いかもしれません。

家の中では袖をドアに引っかけたりもするし、着物を着てお酒を飲みに行くと、自転車にぶつかられそうになったり、鍋や皿に袖を漬けてしまったり、いろんなドンをやらかします。

着る回数が増えると、そういう事にならない様な身のこなしが自然に身についてきます。

身につかないうちは、着物がめんどくさいとか、窮屈だとかおもうかもしれませんけど、慣れてしまうと、これほど快適なモノはないと感じる様になります。

特に夏は、男に生まれて良かったーって想いますよ。

全身を風が通り抜けて、まことに涼しい。

浴衣は案外暑いですね。

安いモノでも良いですから、麻のキモノが良いですよ。

夏の盛りの休みに、着物を着てでかけて、冷や酒をキューって飲むなんて、最高です。

アテはキュウリのつけもんとかね。

初めはリラックスして着る事を考えるのがいいと想うんですよ。

私は、そんな時のために、筒袖の着物を何着か持ってます。

これですと、袖さばきの煩わしさから解放されるので、お酒をたんと飲むときにはとても良い具合です。

お銚子をひっかけて倒すということが無いですし。

あと、茶会とか、好きな女性とのデートでビシッとしていきたい時は、折り目正しくやればいいわけです。

茶会とかも慣れですしね。

たまにいろいろと趣向をこらして着物を着ていらっしゃる殿方を見かけますが、とくに若いうちは、やめといた方がいいと想います。

たいていは、下品になります。

私達プロは、ある意味で見せる為の着物、提案としての着姿でもあるわけですが、一般の方はお遊びがすぎると、軽薄とみなされかねません。

せっかく着物を着るのに軽薄よばわりされたんじゃ、面白くないですよね。

やっぱり60歳を過ぎないと、着崩しや過ぎたお遊びはムリじゃないかと想います。

着物を着ることでどんな自分を表現したいか、というのも考えて良い要素だと想います。

厳格な雰囲気を出したいとか、改まった気持ちを表現したいとか、いろいろあると想います。

私は、商人ですので、商人らしい柔らかさと、ちょっと胸を張った感じを出すようにしています。

でもまぁ、話ははじめに戻りますけど、男の着物って選択肢が少ないです。

女性の1/100も無いんじゃないでしょうか。

最近は男性で茶道をなさる方も増えて来ている感じがしますし、もうちょっとなんとかしたいなと想っています。

某銀座の有名店が男の着物の専門店を大阪に出しましたが、撤退してしまったみたいです。

なぜでしょうか。

よくわからないんですが、やっぱり人任せにしていたせいじゃないかと想うんですよ。

これからは、男性用の反物もこしらえてみたいと想ってます。

もちろん、自分で着るのも造りますけどね(^o^)

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投稿者: mozuya

萬代商事株式会社 代表取締役 もずや民藝館館長 文化経営研究所主宰 芭蕉庵主宰  茶人