『たまにはちょっと男の着物の話①』2015/10/14

普段あつかっているのはほとんどが女性モノなのですが、たまにはちょっと、着る側の立場からということで、男の着物の話を。

私は基本的には呉服屋だからって、いつもいつも着物を着ていなければならないとは想ってません。

ですから、着たいときに着るし、着なくてはならない時に着ます。

一面はリラックス・ウェアとして、一面は正装として、また一面はコスチュームとして。

ですから、着物にはいろんなものを求めていますし、逆に着物が合目的的でないときは着ません。

たとえば、釣りや陶芸をするときは着ません。

今の着物の形、つまり長着では動きにくいし、洗濯が大変(母がですが)なので、できれば汚したくないからです。

キモノ着てタナゴ釣りなんて格好いいでしょうけど、まぁ、今の所そこまではまり込んでません。

茶会やお稽古は必ず着物ですし、人前に出るときやお呼ばれの時は出来るだけ着物を着るようにしています。

キモノって何が良いかと言えば、一番は気分が変わることです。

洋服だと衿が詰まってるし、そもそも、私は靴が嫌いなので、草履を履けるのが嬉しい。

できれば、背広でも草履か下駄を履きたいくらいです。

普段家にいるときは、木綿や麻のキモノを着て、兵児帯しめてます。

楽なんですよ。とても。

クルマを運転するときは、草履や下駄は危ないので、常時右足だけの運動靴がクルマにつんであります。

あとは、着ていくと場がもりあがる、喜んで貰えることでしょうかね。

何が自慢て、キモノはちょっと似合う方だと想ってます。

自慢ばっかり読んでても楽しくないでしょうから、これからキモノを着ようとする、あるいは着はじめた男性の為になる話を書きましょうかね。

まずいちばん必要なのは、キモノと履き物になれることです。

履き物というと草履、下駄ですが、鼻緒になれると言うことです。

靴を履くようになって、日本人は歩き方が変わっています。

すり足であるかないと、特に下駄は履きにくいと想います。

私は元々からすり足なので、初めから問題なかったのですが、それでも下駄より草履、雪駄が好みです。

わざとカランコロン鳴らして歩くようにすると良いかも知れません。

鼻緒だと、足の親指と人差し指の間、そして、鼻緒が擦れる部分がいたくなったりする時があります。

これも全て慣れなので、特に夏場はサンダルとかスリッパを履かないで、草履・下駄を履くようにするとワンシーズンで慣れます。

履き物になれないと、キモノの楽さを感じられないかも知れません。

たぶん現代の日本人には草履、雪駄がいいと想います。

私は正装の時は雪駄、その他の時は今時のウレタン底の草履を履いています。

雪駄は竹と本革のは高価なので、とりあえずはパチモンで良いです。

あと、これは出来ればですけど、30分正座できるようになりましょう。

お茶会でも30分座れればなんとかなります。

今時はお座敷のないおうちも多いでしょうから、TVを見ながら椅子の上で30分正座するだけでずいぶん違います。

男性は体重もあるし、正座も慣れないので初めは辛いですが、90キロを超える私が2〜3時間座れるのですから、大丈夫です。ちょっと練習すれば座れるようになります。

履き物になれて、座れる様になると、キモノを着たいという気持ちがグッと盛り上がってくるし、着ていく場所も増えると想います。

足袋もはくことになるんですが、その辺を散歩するだけなら、タビックスとかストレッチ足袋で十分です。

私はキャラコの足袋が嫌いなので、普段は裸足かストレッチ足袋です。

ちゃんとすべきときだけ、ちゃんとすればいいです。

慣れないうちは、ちゃんとしないと行けないときは背広で良いんですから。

ムリにキモノを着ようとしなくていいんです。

まずは、慣れて、キモノは良いもんだ、快適だと身体で感じることが一番大事です。

あとは、キモノになれる、キモノが快適だと感じるにはどうすれば良いかということです。

お勧めは、パジャマの代わりにデパートとかで売っているガーゼの寝間着を着ることです。

温泉宿なんかにおいてある、あんな感じのものです。

行儀悪いですけど、おうちに帰ったら、スエットとかでなく、そんなのを着る。

持ってる人は、木綿のキモノでも良いです。

ウールでも良い。

襦袢なんか着なくて良いです。

普通の下着で良い。

股ぐらが気持ち悪いというひとは、ステテコをお勧めします。

そんなのを着て、まずは、袖と裾のさばきに慣れることです。

帯は兵児帯で良いです。

まずは、かっこつけずに、楽に着る事を心がけましょう。

そうすると、自然に歩き方も、手の動かし方も身についてきます。

身のこなしが良くなると、これも自然に着崩れしなくなります。

私は腹が出ているので全く必要ないですが、やせ形の方は帯が下腹に入らないかもしれません。

これからの季節は特にですが、キモノって案外お腹が冷える事があるんです。

夏場は流れた汗が腹の所に溜まって、お腹が冷えたりします。

ですから、腹巻きをすると良いです。

どのくらい締めたら良い感じかはそれぞれ違うと想いますが、角帯だと、慣れないと緩んできてしまったりして、それだけでストレスになります。

それじゃ、キモノ着てる意味が無い。

兵児帯をパラリと巻いて、締め込む強度をつかむのと、緩めばすぐになおせるという気楽さを味わいましょう。

後ろでちょうちょ結びとかはちょっと抵抗あると想いますので、私は兵児帯の端っこは挟み込むか、小さくまとめて左ワキの下に置きます。

ちゃんとしなければ行けないときにちゃんとして、あとはめんどくさい事はしない。

これが私のやり方です。

ちょっと長くなりましたので、今日はこのくらいで。

また続き書きますね。

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この記事を書いた人

萬代商事株式会社 代表取締役
もずや民藝館館長
文化経営研究所主宰
芭蕉庵主宰 
茶人

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