『男のキモノで難儀なこと』2014/1/28

私の立場で、変な事書くと思われるでしょうけど、実はそう思うところもあるんです。

男性のキモノは、おはしょりも無いし、女性に比べれば帯も簡単。

でも、実際に着てみると、あ”−−−って思うこともありますね。

まず、男性といえども、帯がめんどくさい。

私は体が硬くて、後ろに手が回らないので、前で結んでクルッと回すやりかたです。

ビシッと固く締めないと着崩れしまいかと不安になって、ついついビシビシに締めてしまうのですが、

そうすると、後ろに回らない。

グチャグチャになってしまうことも。

今は、緩く締めてもそんなに着崩れないので、そういう事もなくなりましたが、まぁ、ちょっとしたストレスではあります。

私はめんどくさがり屋なので、普段は兵児帯を愛用しています。

全部で5本持ってます。

結ばないで、クルクルっと巻いて、挟み込むだけ。

これで完了です。

お茶の稽古とかは、帯の下に袱紗を挟むので角帯ですけどね。

父から譲り受けた総絞りの兵児帯があるんですが、これは結べないですよ。

結んだら、結び目が20㎝以上になってしまいます。

巻くだけでもかなりの体積です。

出っ張ったお腹が余計に大きく見えるし、巻くだけで十分。

文楽とかお能とか見に行くと、たいてい角帯してますけど、なんでですかね?

薩摩の武士がしていたのが初めらしいですけど、確かに、角帯の方が格好良くはありますね。

茶会とかキチンとしたナリをしないといけないとき以外は、兵児帯を活用するのも、気楽にリラックスして、キモノを楽しむ技だとも思うんですがね。

あとね、私は荷物が多いんです。

携帯、煙草、ライター、手帳、ペン、財布、小銭入れ。

最低いつもこれだけは持っています。

これ、洋服の時はポケットに入れているんですが、キモノの時は・・・

袂に入れると、袖がふれなくて歩きにくいし、懐に入れるとお腹が出っ張るし。

琉装の時は、もちろん袖に入らないし、懐に入れると袖から全部抜けていきます。

じゃ、信玄袋とかにいれたら良いじゃない、と思うかも知れませんが、男物の洒落た袋物ってあんまり無いんです。

首里織の信玄袋や手提げを使ってましたが、どうも締まらない。

最近はキャンバス地のバッグを母から取り上げて使用しています。

それと、女性は慣れているかも知れませんけど、ズボンに比べたら足下がスースーするでしょう。

それで、股引をはくと、これもなんかかっこわるいし、だんだん下にずれてきたりして、不快きわまりない。

これはね、グンゼに温かいタイツが売っているんです。

スパッツっていうのかな?

発熱素材みたいなので、タイツと言うより、パッチの長いの、っていう感じのです。

これをはくと、毛ズネは見えないし、スースーしないし、具合良い事この上ない。

寒いと言えば、素肌に長襦袢を着ると汚れるし、臭くなるし、次に着たときに不快です。

かといって、肌襦袢は大きいのがなかなか無いし、私のもっているのだとはだけてしまいます。

フォーマルの時は作務衣みたいになった、上下の肌襦袢を着ますけど、普段は、普通にシャツです。 

シャツのU首だと、襟元からのぞくこともありません。

あとは足袋ですかね。

私は雪駄派ですが、雪駄だと普通の足袋ではつるつる滑って歩きにくいです。

私の歩き方にも問題あるのかも知れませんが、兎に角歩きにくい。

雪駄の上だと、足袋をはいた足は踏ん張りが効かない。

雪駄を履くときは、足袋の裏にゴムのブツブツがついたのが便利です。

お能の稽古の時ははけませんが、滑りません。

あと、車の運転ですかね。

私は、愛車のなかにいつも右足だけの運動靴を入れてあります。

運転するときは、右足だけ履き替えます。

お稽古の時はたいてい車なので、キモノを着て、車の中では左足は草履、右足は運動靴というかっこうです。

草履のまま運転する方もいらっしゃるようですが、私は恐がりなので、履き替えるんです。

その他、探せば色々面倒な事はあるんですけど、なんでキモノ着ているのか?と言われたら理由は、これも色々あるんですけどね。

呉服を商っているんだから、着なくちゃ、という気持ちはもちろんあります。

売っているモノを自分が着てみて検査している、というのもあります。

お茶の稽古するなら、キモノでしょ!というのもある。

よく似合いますね!と言われたい、これもある。

飲み食いしに行っても、お店の人に良くして貰えたり、知らない人に話しかけられたりと、楽しいことがある、というのもあります。

キモノが好きか?といわれたら好きですね。やっぱり。

じゃ、洋服とどちらが好きか?と言われたら、どちらも同じくらい好きです。

洋服には洋服の煩わしさというのもあるんです。

キモノの良さというのは、私にとっては、『楽』だというのがあるんですね。

体が大きいので、背広も大きく重くなります。

毛織物は同じ面積でも、当然絹より重い。

その重さが全部、肩にかかるんです。

洋服脱ぐとセイセイしますが、文字通り肩の荷がおりるんです。

あとちょっと太ると、ズボンがきつくなります。

キモノだと、10キロ位太っても痩せても、全く問題ありません。

季節による体重変動が大きい体質なので、キモノは便利です。

パーティーや会合にでる時などは、絶対キモノが有利ですね。

まず、目立つ。

こっちが動かなくても、必ず誰かが寄ってきてくれます。

そして、印象に残る。

私の体だと、とくにそうです。

太ったとか痩せたとか、いちいち言われなくて済むし。

あと、慣れれば脱いでもすぐに着れる。

これも隠れたメリットです。

洋服だと、シャツのボタンをとめたり、ズボンのチャックを上げたり、ベルトを締めたりして、下着を着た状態から着ても3分くらいはかかります。

キモノだと1分かかりません。

ジロジロ見られるからイヤだという方もいらっしゃるようですが、確かにそうですね。

ジロジロ見られたり、外人さんに写真を撮られたりします。

それも、すぐ慣れますよ。

キチンとしなければならない時はキチンとして、

普段に着るなら、思い切りリラックスして着る。

寒くないように、動きにくくないように、ちょっとした工夫をすれば男性のキモノははなはだ快適です。

私の場合、最大の難儀・・・それは私が『ヨゴシ』であることです。

カレーうどんを食べれば、カレーを飛ばし、串カツを喰らえば、袖にソースを落とす。

ほんと子供みたいに汚すんです。

ですから、汚れの目立たないキモノを選ぶ。

ちょっとくらい汚れても気にしない。

家に帰るまでに証拠隠滅する・・(^_^;)

家の人に、グチャグチャ言われても気にしない。

着りゃ、汚れるんですから。

汚さないで着ようと思うと、それだけでストレスになります。

リラックスしたい、くつろいだ気分を味わいたい、それでキモノを着るのに、肩に力がはいっていたら、台無しです。

キモノを着て、くつろいで酒を飲む。

特に夏は、ゆるりと着て。

男の醍醐味じゃないですか。

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この記事を書いた人

萬代商事株式会社 代表取締役
もずや民藝館館長
文化経営研究所主宰
芭蕉庵主宰 
茶人

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