私の立場で、変な事書くと思われるでしょうけど、実はそう思うところもあるんです。
男性のキモノは、おはしょりも無いし、女性に比べれば帯も簡単。
でも、実際に着てみると、あ”−−−って思うこともありますね。
まず、男性といえども、帯がめんどくさい。
私は体が硬くて、後ろに手が回らないので、前で結んでクルッと回すやりかたです。
ビシッと固く締めないと着崩れしまいかと不安になって、ついついビシビシに締めてしまうのですが、
そうすると、後ろに回らない。
グチャグチャになってしまうことも。
今は、緩く締めてもそんなに着崩れないので、そういう事もなくなりましたが、まぁ、ちょっとしたストレスではあります。
私はめんどくさがり屋なので、普段は兵児帯を愛用しています。
全部で5本持ってます。
結ばないで、クルクルっと巻いて、挟み込むだけ。
これで完了です。
お茶の稽古とかは、帯の下に袱紗を挟むので角帯ですけどね。
父から譲り受けた総絞りの兵児帯があるんですが、これは結べないですよ。
結んだら、結び目が20㎝以上になってしまいます。
巻くだけでもかなりの体積です。
出っ張ったお腹が余計に大きく見えるし、巻くだけで十分。
文楽とかお能とか見に行くと、たいてい角帯してますけど、なんでですかね?
薩摩の武士がしていたのが初めらしいですけど、確かに、角帯の方が格好良くはありますね。
茶会とかキチンとしたナリをしないといけないとき以外は、兵児帯を活用するのも、気楽にリラックスして、キモノを楽しむ技だとも思うんですがね。
あとね、私は荷物が多いんです。
携帯、煙草、ライター、手帳、ペン、財布、小銭入れ。
最低いつもこれだけは持っています。
これ、洋服の時はポケットに入れているんですが、キモノの時は・・・
袂に入れると、袖がふれなくて歩きにくいし、懐に入れるとお腹が出っ張るし。
琉装の時は、もちろん袖に入らないし、懐に入れると袖から全部抜けていきます。
じゃ、信玄袋とかにいれたら良いじゃない、と思うかも知れませんが、男物の洒落た袋物ってあんまり無いんです。
首里織の信玄袋や手提げを使ってましたが、どうも締まらない。
最近はキャンバス地のバッグを母から取り上げて使用しています。
それと、女性は慣れているかも知れませんけど、ズボンに比べたら足下がスースーするでしょう。
それで、股引をはくと、これもなんかかっこわるいし、だんだん下にずれてきたりして、不快きわまりない。
これはね、グンゼに温かいタイツが売っているんです。
スパッツっていうのかな?
発熱素材みたいなので、タイツと言うより、パッチの長いの、っていう感じのです。
これをはくと、毛ズネは見えないし、スースーしないし、具合良い事この上ない。
寒いと言えば、素肌に長襦袢を着ると汚れるし、臭くなるし、次に着たときに不快です。
かといって、肌襦袢は大きいのがなかなか無いし、私のもっているのだとはだけてしまいます。
フォーマルの時は作務衣みたいになった、上下の肌襦袢を着ますけど、普段は、普通にシャツです。
シャツのU首だと、襟元からのぞくこともありません。
あとは足袋ですかね。
私は雪駄派ですが、雪駄だと普通の足袋ではつるつる滑って歩きにくいです。
私の歩き方にも問題あるのかも知れませんが、兎に角歩きにくい。
雪駄の上だと、足袋をはいた足は踏ん張りが効かない。
雪駄を履くときは、足袋の裏にゴムのブツブツがついたのが便利です。
お能の稽古の時ははけませんが、滑りません。
あと、車の運転ですかね。
私は、愛車のなかにいつも右足だけの運動靴を入れてあります。
運転するときは、右足だけ履き替えます。
お稽古の時はたいてい車なので、キモノを着て、車の中では左足は草履、右足は運動靴というかっこうです。
草履のまま運転する方もいらっしゃるようですが、私は恐がりなので、履き替えるんです。
その他、探せば色々面倒な事はあるんですけど、なんでキモノ着ているのか?と言われたら理由は、これも色々あるんですけどね。
呉服を商っているんだから、着なくちゃ、という気持ちはもちろんあります。
売っているモノを自分が着てみて検査している、というのもあります。
お茶の稽古するなら、キモノでしょ!というのもある。
よく似合いますね!と言われたい、これもある。
飲み食いしに行っても、お店の人に良くして貰えたり、知らない人に話しかけられたりと、楽しいことがある、というのもあります。
キモノが好きか?といわれたら好きですね。やっぱり。
じゃ、洋服とどちらが好きか?と言われたら、どちらも同じくらい好きです。
洋服には洋服の煩わしさというのもあるんです。
キモノの良さというのは、私にとっては、『楽』だというのがあるんですね。
体が大きいので、背広も大きく重くなります。
毛織物は同じ面積でも、当然絹より重い。
その重さが全部、肩にかかるんです。
洋服脱ぐとセイセイしますが、文字通り肩の荷がおりるんです。
あとちょっと太ると、ズボンがきつくなります。
キモノだと、10キロ位太っても痩せても、全く問題ありません。
季節による体重変動が大きい体質なので、キモノは便利です。
パーティーや会合にでる時などは、絶対キモノが有利ですね。
まず、目立つ。
こっちが動かなくても、必ず誰かが寄ってきてくれます。
そして、印象に残る。
私の体だと、とくにそうです。
太ったとか痩せたとか、いちいち言われなくて済むし。
あと、慣れれば脱いでもすぐに着れる。
これも隠れたメリットです。
洋服だと、シャツのボタンをとめたり、ズボンのチャックを上げたり、ベルトを締めたりして、下着を着た状態から着ても3分くらいはかかります。
キモノだと1分かかりません。
ジロジロ見られるからイヤだという方もいらっしゃるようですが、確かにそうですね。
ジロジロ見られたり、外人さんに写真を撮られたりします。
それも、すぐ慣れますよ。
キチンとしなければならない時はキチンとして、
普段に着るなら、思い切りリラックスして着る。
寒くないように、動きにくくないように、ちょっとした工夫をすれば男性のキモノははなはだ快適です。
私の場合、最大の難儀・・・それは私が『ヨゴシ』であることです。
カレーうどんを食べれば、カレーを飛ばし、串カツを喰らえば、袖にソースを落とす。
ほんと子供みたいに汚すんです。
ですから、汚れの目立たないキモノを選ぶ。
ちょっとくらい汚れても気にしない。
家に帰るまでに証拠隠滅する・・(^_^;)
家の人に、グチャグチャ言われても気にしない。
着りゃ、汚れるんですから。
汚さないで着ようと思うと、それだけでストレスになります。
リラックスしたい、くつろいだ気分を味わいたい、それでキモノを着るのに、肩に力がはいっていたら、台無しです。
キモノを着て、くつろいで酒を飲む。
特に夏は、ゆるりと着て。
男の醍醐味じゃないですか。
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