もずやと学ぶ『芸術と経済のジレンマ』第4話

第3章 カルチャー・ブーム:その証拠の再点検

明日から沖縄行くので、続けて書いときます。

1960年代の米国ではカルチャーブームと言われる事があったようで、これに対して舞台芸術の分野で考察がなされています。

まず、なんの為にこれを検証しようとするのか、です。

『カルチャー・ブームはこの10年でおそらく最もよく宣伝された芸術現象である』

『とはいうものの、この現象に異を唱える声も上がってきている。懐疑的な解説者達は、芸術への関心がよみがえったと声高に騒いでも、それは自己欺瞞に過ぎないとほのめかしてきた。』

『カルチャーブームを差異のない1つの大きな塊として扱うことの危険性がはっきり示されるであろう』

『この章では、合衆国において人々が舞台芸術に向ける関心の度合いを企画数や、それらの成長率、入場料のための支出とその他の消費支出との関係、といった物差しをつかって測定し、明確に示してみたい。つまり、この章は、私たちの研究の他の部分にとっての背景となるのえである』

つまり著者は仮説として『カルチャーブームと言ってもジャンルによって様々でひとかたまりで扱うことは出来ない』としているわけですね。

現実には、商業演劇や、オペラ、オーケストラなど第2章で挙げたそれぞれのジャンルについて検証しています。

入場料や入場者数の伸び率は、人口動態や経済成長率、収入の増加率、貨幣価値などを割り引いて実質的なモノに換算して比較しています。

それぞれ書くととてつもなく長くなるので、ご興味おありの方は本を買ってください。

都合の良いことに、著者は最後にまとめてくれています。

『それぞれのジャンルや地域性という面から見ても、状況は同じく一様ではない。舞踊、地域劇団、オフ・ブロードウェイの活動には、実質的成長があった。ただし、オフ・ブロードウェイの発展はすでにあっけなく終局を迎えてしまったかもしれない。メジャー・オーケストラとオペラはどうにか持ちこたえてきた。そして、ニューヨークの商業演劇は、しばしば祝えるほど急速でないにしろ、衰退の道をたどっているのである。』

『要約しよう。このkろくの分析を通して、私たちはこう結論することができる。この国は大きな文化ルネッサンスの時代に入ったのでもなければ、芸術的に不毛の地の取り残されているのでもない。というよりもむしろ、しばしばあることだが、どちらとも言えない中間地帯にいるのである。ーすなわり、最近15年間を通して現存の芸術におけるプロ活動の発展は、過去の趨勢の延長線上にあるということである。しかしながら、いくつかの特別な活動領域では、間違いなく過去数年間に、沸き立つ発展の雰囲気が現れ、それが輝かしい未来を予感させる熱狂を生み出してきたのである。こうしてみると、現存の芸術への関心はおそらくこれから先、もぅっと大きくなっていくであろう。しかし、芸術に現在携わっている人々の多大な努力なしで、観客数の世界的増大が起きると期待させるような目立った兆候は、目下のところほとんど見あたらないのである』

このカルチャーブームに対する仮説の検証はなんの為に行われたのでしょうか。

私は芸術関係者、そして、鑑賞者にむけて警鐘を鳴らしたんじゃないかとおもうんです。

『カルチャーブーム言うてもそんなもん、実際にはあらしまへんで』という事を明らかにして、この研究の意義を高めているんでしょうね。

そうでもなければ、『もう、このアメリカっちゅう国はやなぁ、芸術でバンバンや。そんなもん取り越し苦労や。アカンアカン』という風になってしまうでしょう。

『調子のええ事いうてる場合ちゃうで、ほんまはそんな儲かってへんねんで。昔の川崎球場みたいなもんらしいで』

と言うことでしょう。

世の中にはこれとよく似た現象はたくさんあって、すごく流行っているレストランが急に閉めてしまうことがあります。

『あんなにはやってたのに、なんでやろ?』という声を良く聞きますが、私は店に入って客の様子を見て、価格を見れば、その店がどないなるかわかります。

つまり、流行っているように見えても、客が回転していない、回転していないのに、低料金ではやっていけるわけがないんです。

レストランというのは昼と夜だけ。夜は高く取れてもビジネスランチの店では回転が勝負です。

そんなところに安くて美味しいからと、女性客がおしかけて長居をされたんでは、ランチ客は1回転で終わりです。

それを見るには、どれだけの客が飲み食いしている状態にいるかを見ればわかりますね。

ほとんどの客が食べていなければ、売り上げには繋がっていない状態と同じです。

夜は長居してもらってもいいのですが、勝負はドリンクです。

食うのは限られます。どれだけ酒を売るかです。

ですから、流行っていそうでも儲かってない、入っている様でも、入っていないなんて事は世の中にいくらでもあるんです。

沖縄でも修学旅行生のバスがとまる店は流行っているように見えます。

でも、現実には潰れる所も少なくないのです。

なぜか。買わないのです。買わないのにトイレだけ使う。場所は広いところが要る。

商売人としてご飯を食べていこうとするなら、そういう目で他のお店、飲食店や衣料品店を見る習慣をつけなければいけません。

あ、ここは商道風姿花伝ちゃいましたね (^^;)

この本は、経済学者が書いていて、バイブルとも言われる本だけに、きちんとした論文のような形式がとられています。

キチキチと前提から詰めてきています。

これだけきちんと書かれたら、反論するのも大変だと思いますね。

今のところは、とにかく仮説を実証して、前提を固めている部分です。

徐々に、論理は展開されていくものと思います。

あ、これで心おきなく沖縄にいけます (^o^)

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この記事を書いた人

萬代商事株式会社 代表取締役
もずや民藝館館長
文化経営研究所主宰
芭蕉庵主宰 
茶人

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