昨日は初釜、今日は謡い初めを終えて、いよいよ明日から仕事始めです。
【ラファエル前派】(プレラファエリズム)
ここくらいからいろんな芸術家の名前が出てきますが、できたらネットで背景や作品を参照してくださいね。
・ラファエル前派はミレー、ハント、ラセッティによって結成された。
・当時のアカデミズムはラファエルを偶像視し、『崇高なる芸術』という観念がヴィクトリア朝をとらえていた。
・ラファエル前派はこれに対して、初期ルネッサンスのジオットやオルカーニャなどの素朴で力強い描写に戻ることを主張した。
・『ラファエル前派には一つの理想はない。自然の中に見た物を画布に再現することである』(ミレー)
・コンベンショナル(慣習的)な技法ではなく、自然そのものから出発することを目標として掲げた。
・プリミティヴなもの、日常的なものにおける美の発見が求められた。
上に出てきた『アカデミズム』という言葉に注意してくださいね。
○ラファエル前派の自然主義=細部における写実、触感的表現→空気遠近法の否定、タピスリ的な工芸性
○ラファエル前派は目で見、触って確かめられるものしか描写しない。しかもこの自然の表面のみによって象徴としての幻影を主題としていたのである。
○この室内性、触覚性、工芸性がバーン・ジョーンズからモリスに受け継がれた。
○ラファエル前派の中で、
ミレー・・・自然主義、写実主義を主張
ロセッティ・・・幻想的象徴性・・・・・・・・・・→ウィリアムモリスへ
ハント・・・中間的
☆ラファエル前派がアールヌーボーに送るのは触覚的写実(室内性、平面性、工芸性)による神話的幻影、象徴性
○ロセッティにおいてラファエル前派は大きく転回する
『外的自然への忠実』から『自分自身の内的経験への忠実』へ→ラファエル前派の自然主義はモラリッシュ(道徳的)
ーーーしかし神々は死んでいたーーー
実践理性としての道徳は神の代わりに美を選んだ(美の宗教)
=自然から出発しながら芸術至上に達する
→『自然は芸術を模倣する』(ワイルド)
○バーン・ジョーンズにおける
・自然の写実に関わる構成(コンポジション)の優位
・視覚言語としてのイディオムの構成
→デザインの萌芽→ウィリアムモリスのアーツ&クラフツ運動はここから始まる。
○イギリスのロマン主義の道徳性は、フランスにおける象徴主義の社会からの断絶に比べてつねに社会的である。アールヌーボーがなぜイギリスにはじまるかという原因のひとつがここにある。
と、こんな感じのあらすじです。
かなりわかりにくいと想いますし、私の理解も不十分、あるいは間違っているかも知れません。
たぶん、こういう事だと想うんです。
教会が力を持っていた時代は芸術家は教会で教化につかう宗教画を描いていれば良かったし、王権が強いときは王家や貴族の絵を注文で描いてれば良かった。
しかし、宗教改革によって教会の権威は失墜し、神ー教会ー民衆から、神ー民衆とダイレクトに神と繋がっているという気持ちができた。
つまり、神は我々の中にある。
また、教会、王族・貴族から注文をもらっていた芸術家は絶対的パトロンを失った。
誰が買うとも知れない絵を描かねばならないわけです。
何の為に描く?
絵画の制作が労働とは捉えたくないでしょう。労働は原罪によって発生した罰ですから。
そこに入ってくるのは、自分の精神。
神と繋がっている自分から生まれてくる主張です。
大衆性と道徳性・倫理性、双方を満たさねばならないわけですよね。
結論として生まれてきたのが『抽象性』、つまりメッセージ性です。
卑近な題材の中を見出して、その中に挟まっている猥雑な物を取り払う。
単純化し連呼することで、自分のメッセージを作品の中に込める。
たぶん、『南無阿弥陀仏』『何無妙法蓮華経』のお念仏と同じです。
重要なのは、技法の変化つまり、ラファエル以前の表現に戻るべきだとした、ということよりも、『抽象化』し『デザイン化』した、という部分です。
表現にとらわれると、アールデコへの流れがわかりにくくなります。
結末して、アールヌーボーの自然写実的な表現は挫折し、よりデザイン的なアールデコになって初めて、幅広く民衆に受け入れられデザインとしての洗練を見せたと言えると想います。
とにかくこの話は建築から絵画、陶器、ガラス、金属器、洋服、舞台芸術まで幅広いジャンルに渡りますから、テーマを絞らないと訳が分からなくなるんです。
注目していきたいのは、抽象化、デザイン化というキーワードです。
この言葉から何を連想しますか?
私達、呉服業界の者なら、『家紋』だと想います。
世界中見渡しても、この日本の家紋ほどすぐれたデザインは無いと私は思います。
後にジャポニズムがいかにアールヌーボー・アールデコに影響を与えたかを書くことになるかと想いますが、日本人のデザイン力が如何に図抜けているかが解ると想います。
デザインとはデ・サイン。
つまり記号化です。
絵画、彫刻などの純粋芸術、工芸などの応用芸術、舞台芸術まで含めて、その中に記号として作者の主張を埋め込む。
この記号がデザインです。
続きはまた今度 (^_^)
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