『値上げラッシュ』2014/3/3

来月から消費税が3%上がって8%になりますが、加工期間のある着物や帯はとてもややこしい事になります。

当社はデパートさんがお得意先なので、お客様に納品されて初めて売り上げ計上されます。

ということは、2月末や3月にお求め頂いても、仕立て上がって、お納めするのが4月以降であれば、消費税は8%になります。

その辺を曖昧にしていると、後になってお客様にご迷惑をおかけすることになるので、キチンと売約の内容を決める事にしています。

消費税が上がる以外に、いままで我慢していたけどこの機会に!という事なのでしょう。

あっちもこっちも値上げです。

まず、糸値があがって、白生地、特に紬類の値段が上がってきました。

白生地が上がったかと想ったら、沖縄の場合は染め代があがり、今度は、織物の値段も上がりました。

石油が値上がりしているのですから、すべて値上がりするのは当然で、染料やらの染色材料、加工代、仕立て代なんかも、値上がりするでしょうね。

それがちょっとばかりでなくて、2〜3割。

いままで我慢してきたので・・というわけです。

でもまぁ、しょうがないですね。

景気上昇を実感できないうちに、値上げだけ先行されたのでは、やりにくいのですが、これを嫌がっていたら、従事者の待遇改善なんてほど遠いということになってしまいますね。

私は格好をつけるわけでなく、『いいですよ。上げなさい。上げた方が良い。』と言ってます。

値上げすることによって待遇が改善されるなら、それをベースに努力をしていけばいいのだと想うのです。

値上げして、私の算盤に合わなければ私はやらないだけの話です。

他に高値で買ってくれる人がいたら、そこに出せばいい。

他でも同じような事がおこれば、値段は必然的なところで落ち着くと想います。

私達問屋も、問屋がぼったくっているから、値段が高くなるなどという、濡れ衣を着せられたくありません。

原料代やその他の経費が上がったら、作り手さんも相応の収入がとれて、次世代にも繋がるような仕事にしていってもらった方が、私達問屋は良いのです。

値段が上がれば、その代わり、ボンクラな作り手は淘汰されるでしょうね。

価格に見合う品質・内容が無ければ、市場から駆逐されます。

これはしょうがないことです。

作り手も二極化、貧富の差が拡大するということになるんでしょうね。

商売上、仕入れ値が高くなることで一番こまるのは、プライスラインが崩れる事なんです。

プライスラインというのは、1万円、2万円、3万円、5万円という風に価格を整理してキレイな値段を設定する事です。

仕入れコストから粗利を機械的に足して根付けしたのでは、9868円とか11353円とか、バラバラになってしまいます。

税込み表示が許されるところでは、税金込みで、1万円前後の物を1万円とか、9800円とかに値付けするわけです。

それが仕入れ値が上がったり、消費税があがると、いままで13568円で1万円のプライスだったものが、164583円になってしまうと、2万円つけなくてはいけなくなる。

プライスラインをキレイに保とうとすると、上のラインにまであげなくてはいけない。

これを便乗値上げととられてしまう場合もあるわけですね。

ここのあたりは、商人のセンスが問われるところでしょうね。

四月以降の景気や株価がどうなるかとか、色々、難しい時期ですが、まぁ、やっていけるように値上げすればいいのだろうと想います。

東京の方はオリンピックも控えていて、テナントの賃料も上がるかも知れませんし、好況の中でも不安定になるかもしれませんね。

正直言って、今、特に先染品は安すぎるんだろうと想いますね。

今の価格帯で良いモノを造れという方が無理ですよ。

今の状態は、まさに奇跡なんです。

作り手のプライドでなんとか持っている、そんな感じです。

着物や帯の上代が高くなるのはいろんな理由があるんですが、もう少し作り手の利幅をふやしてあげないと、やれないと想います。

あれこれ値上げになれば、難しくなりますが、そこは、商人の才覚で乗り越えなければならない問題だと想います。

値段を落とすことより、歩留まりを上げたり、良い商品づくりを提案したりと、やれることはたくさんあると想います。

値段が上がる中では、消費者のみなさんも、作品をジックリ見て、鑑識眼を高められる良い機会になるかもしれません。

コスト高の為に、なんの面白みも無い商品ばかりが市場を埋め尽くす様な事にだけはならないようにしたいと想っています。

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投稿者: mozuya

萬代商事株式会社 代表取締役 もずや民藝館館長 文化経営研究所主宰 芭蕉庵主宰  茶人