『悪徳商人、ビンタを食らう』2015/4/3

最近聞いた話です。

ある問屋がある作り手にビンタされたそうです。

なんでも、作家名を偽って表示したとか。

詳細は書きませんが、そりゃ、しばかれてもしょうがないし、そんな事をして、よくその作り手の前にまた顔をだせたものですね。

あきれはてます。

良心というか、正常な感覚が麻痺しているとしか言いようがありません。

『あんたの名前じゃ売れないよ』

そう言われているのと同じ事です。

もちろん、消費者のみなさんにとっても、たいへんな裏切りです。

私は、いままでブログを通じていろんなお知らせをしてきましたが、ほとんど改善されていないのかも知れません。

作り手さんに報告したりしているのですが、怒るどころかへらへら笑ってる人さえいます。

そんな事で、さすがの私も無力感にさいなまれ、もう書くのはよそう、と想っていました。

作り手の人たちが、自分で不正を糾弾し、場合によっては産地からそして業界から永久追放する位のことをしないと、解決には向かわないと想うのです。

あるべき姿が当然の様にあるようでないと、消費者のみなさん、作り手自身、そして正直にやっている同業の問屋もみんな不幸になります。

こうして書いていても虚しくなるくらいですが・・・

義を見てせざるは勇なきなり。

せめて、自分だけでも、普通の事を普通にやり抜いていきたいと想います。

新垣幸子作 八重山上布着尺

八重山上布

新垣幸子先生にお願いして制作していただいた八重山上布の着尺地です。八重山藍、福木などの植物染料と手結絣の技法で非常に涼やかな印象です。

新垣先生の作品は正確無比な技術もさることながら、色の美しさに毎回感動します。息を飲むほど美しい、そういう表現が相応しいかと思います。

八重山上布は経糸にラミー、緯糸に手うみの苧麻を遣いますが、新垣先生は自ら苧麻を栽培し、自らの手で糸をうまれるのです。達人が栽培から精魂込めて作れば、その作品が素晴らしいのは当然と言えるかもしれません。しかし、その分、特に着尺は年間に数反だけの生産となっています。非常に希少な作品です。

宮古上布

宮古上布は言わずと知れた沖縄の誇る重要無形文化財です。越後上布と並んで世界一の麻織物と言っていいでしょう。

宮古島で栽培された苧麻を手で績み、琉球藍の深い色で染められた布はまさに黒いダイヤモンドと言われるにふさわしい美しさです。

そんな宮古上布も、重要無形文化財とされるものはもうかなり少ない数になっていて、後継者も非常に厳しい状態におかれています。

日本の手仕事を象徴するような織物です。

是非、大切に受け継ぎ残していきたいものです。